今のところ杞憂かもしれません。

前回(2/26)に、緊急事態で人を助けようとしても、その人が重篤な状態に陥ったり、亡くなったりすれば訴えられ、敗訴するかもしれない、その場合には刑事罰を受け、全てを失う可能性もあると書きました。
これを回避するための法律として、「善きサマリア人法」というものが引き合いに出されることがあります。
アメリカなど、多くの国に存在する法律で、緊急事態において、窮地にある人を救おうとして万が一過失を犯したとしても、重過失がない限り罪には問われない、というものです。
現在日本にはこの法律がないのですが、民法698条に同様の内容を示す部分があり、一般に特別な立法は必要ないと言われているようです。
まぁ、だからこそ、AEDが普及し、一般の人が扱ってもいいとされているわけです。
免責規定がないのに、医師でもない人が除細動を行っていいはずもありません。
が。
この話、現場の医師には全くと言っていいほど知られていません。
また海外と違い、日本では医師が過失を犯すとすぐに刑事罰に問われます。
リスクの大きさに医師がひるむのも無理はないと思います。
このまま社会が医師の過失に対して過敏になっていけば、僕の心配は現実のものになるかもしれません。

「今のところ杞憂かもしれません。」への2件のフィードバック

  1. 私は救おうとして過失を犯してしまった医師が、
    裁判で敗訴した時に、
    医師免許を失う事はどうかと思います。
    必ずしも過失を犯してしまった医師が、
    適性がなかったからだと思わないからです。
    私は看護の仕事をしている時、
    医療事故と自分は常に隣り合わせであり、
    患者さんの安全を自分は守りきらなくてはいけない、
    いつも心の中にそのプレッシャーがあります。
    医療従事者だったら、皆、感じて
    日々戦っている気持ちだと思います。
    罪を償う事は必要な事であり、
    大切な事だとも思います。
    けれども、そんなプレッシャーの中で、
    一生懸命救おうと頑張った結果によって、
    免許を失うのは切ない事だと思います。
    また、倒れている人がいても、
    関わった時の過失を恐れて
    見て見ぬフリをして
    通り過ぎていく医療従事者の光景は
    悲しすぎると思います。

  2. コメントありがとうございます。
    本当にその通りと思います。
    一般の人は、テレビなどの影響で「今の医療はすごい! なんでもできるんだ!」という「イメージ」を持ってしまっていることが多く、そのことが現在のような状況の原因の一つとなっているように思います。
    もう「医は仁術」などという牧歌的な時代は来ないのかもしれません。
    僕はそれでも僕なりにあがいてみているわけですが……。

コメントを残す