軽い症状で突然死? 日本から医師がいなくなる日

 先日、40代の男性が軽い症状で病院の休日外来を受診し、風邪と診断されて帰宅し、翌日トイレで突然死していたとのことで、男性の母親が誤診ではないかとして警察に通報し、捜査が行われているとの報道がありました。

 医師のコミュニティサイトでは、もう医師をやめたいという人が続出。
今回の症例の診察内容についても、圧倒的に「妥当だと思う。自分でもそうしただろう」という医師が多数のようでした。

一般の感覚としては「病院に行けば『絶対に』良くなるもの」と考え(あるいは、そう思い込み)がちですが、実際には医療は「かなり不確実」なものです。
(いいサイトを見つけました。早稲田大学 オピニオン No.268 医療の不確実性

軽い症状で発症する難病、かなりレアな病気はよくありますし、個々の免疫状態、体の状態、もともともっている疾病(診断されている、されていないにかかわらず)によってかなり経過が左右されます。

 「治るのが当たり前、治らなければ医者の過失」となれば、日本から医師は一人もいなくなるでしょう。
冗談のようなホントの話ですが、「医療ミスを絶対にされない方法」は、「医療サービスを一切受けないこと」しかありません。

 このまま日本が「何かあったら診た医師の過失である」との前提でいちいち刑事事件として捜査し続けることになれば、ちょっとお腹が痛いからと言って病院に行ったら、何枚もの同意書を書かされた挙句、大げさな血液検査、腹部エコー、腹部造影CTを施行され、何万円も払ってようやく「お腹の風邪だと思いますので、整腸剤出しておきます。ただし今後急死する可能性も否定できません。その旨ご了承いただければこの同意書にサインを…」とか医者が言うようになるかもしれません。

 もしそんな時代になったら、バカバカしくてやってられないので僕はクリニックをたたんで、身近な人たちだけ治療するようになるかもしれません。(海外で医者をするかも?)
医師は現在、一度誤診をしただけで犯罪者、前科者になり、今まで培ってきたものすべてを失いかねないという、あまりにも過大なリスクを負いながら毎日医療サービスを提供しているわけですが、そのような職業は他にほとんどないと思います。
(あるとすれば、車の運転手くらいですかね。
運転中に不慮の事故を起こしてしまえば、過失致死もありうるわけで…。)

 以前からここにも書いていますが、僕の子どもたちが「医者になりたい」といっても、積極的には応援しないかもしれません。
少なくとも、「多少成績がいいから」という理由で医学部を目指す若者には、「絶対にやめなさい」と言います。
多大な労力とお金をかけてまで、医師という「犯罪者予備軍」になどなるものではないと思うのです。
人の親として、子どもにそんなイバラの道を歩かせたいと思わないのはごく自然のことでしょう。
日本で医師になっていいのは、いつでもすべてを失う覚悟がある、志の高い人間か、たとえ犯罪者になっても生活していける術を持つ人間だけなのだと思います。

大腸カメラ日誌 2010.11.7 最近の成績

以前から痛くない大腸カメラ、見落としの少ない大腸カメラを心がけていますが、ちょっと思い立って最近僕が施行した大腸カメラの成績を調べてみました。
すると、最近施行した大腸カメラは10件連続で、S状結腸をたわませず、ストレート、無痛で通過していました。
大腸カメラの挿入で一番痛くなりやすいのは、一番たわみやすいS状結腸で、ここさえ痛くなく通れればあとは無痛で通れることが多いのです。
僕の場合も、10件のうち、ほとんどが検査中、どこも痛くならずに検査ができていました。
(ちなみに、癒着その他で痛みが出てしまった場合は鎮静剤を使いますが、痛くなければ鎮痛薬、鎮静剤の類は一切使っていません。)
 
大腸カメラ、大腸ポリープの日帰り手術は東京 渋谷ヒラハタクリニック