低中性脂肪血症について

渋谷で健診・ドックをしているとびっくりするんですが、なぜかやたら中性脂肪が異常に低い人が多いんですよね。
多いのは、若い女性なんですが、意外に少し太めの男性なんかも低かったりします。
具体的な数字を言うと、中性脂肪が30台、40台、という人は、まぁあまりこちらも気にしないのですが、24などといった数字になってきますと、慣れないうちはアセります。
病名をつけるとすれば、「低中性脂肪血症」。
で、経験則から、どうも運動が足りていない人が低中性脂肪血症になっている印象がとても強かったんですね。
ただ、(僕の調べ方が悪かったのかもしれませんが)英語の論文を調べてみても、高脂血症の論文は腐るほどあるのに、低中性脂肪血症の論文は全然出てきません。
で、一般のサイトを見てみますと、なんだか中途半端な説明しか載っていなかったり、逆にあまり明確な根拠もないのに、どう考えてもやりすぎというほど脅していたり。
特に、脅しているサイトはどうかと思いますね。
実際に低中性脂肪血症の患者さんを見れば分かることですが、皆さん普通に元気です。
ただ、ほとんどの方が運動不足。
で、たまたまこの前の抗老化学会の講習会で、適切な運動療法をしたら血圧が高い人は低くなり、低すぎる人は上がり、高脂血症の人は値が低くなり、「中性脂肪が低すぎる人は上がる」、というデータが出ていました。
これは信州大学大学院医学研究科加齢適応医科学系独立専攻の能勢博教授の研究。
特に低中性脂肪血症に関してだけ見ますと、58人の低中性脂肪血症の方の中性脂肪の平均値が、運動指導後に明らかに改善していました。
(ちなみに、能勢教授の運動指導は、3分間の速歩と、3分間のゆっくり歩きを交互に繰り返し行うという、とても簡単なものです。)
「やっぱりそうか!!」と、非常にうれしく思いました。
まぁ、あんまり低い場合、甲状腺機能亢進症や肝疾患の可能性などを考え、念のため精査することは必要だとは思いますが、精密検査で問題がなければ、あとはしっかり運動してくださいね、ということになります。
間違っても油ものやらスナック菓子なんかをたくさん食べたりしちゃだめですよ。身体を壊します。
(そういう冗談みたいな指導をする医師もいるようなので・・・。)
人間ドックなどで「低中性脂肪血症」を指摘された方等、何かご不明な点がある場合や、精査を希望される場合は、お気軽に当院までお問い合わせいただければと思います。
クリニックの掲示板でも質問を受け付けます。)