野球で肩や肘を痛める、というのはよく聞く話ですが、実際には
どういうトラブルがあるのでしょうか?
先日、整形外科でそれについての講義を受けることができたので、
簡単にご紹介したいと思います。
(なお、記載内容に間違いなどがある場合があるかもしれませんが、ご容赦ください。
お気づきの点など、メールなどでお知らせいただければ、幸いです。)


リトルリーグ肩:上腕骨頭骨端線骨折
 まだ骨が成長している頃に、投球をしすぎると、「リトルリーグ肩」という
傷害を起こす可能性があります。
具体的にどういうことが起こるかというと、上腕骨(肩から肘にかけての骨)の
骨端線、すなわち骨が成長する部分で骨折を起こす可能性があるのです。
そうなると、骨の成長に障害が起こる可能性もありますので、十分な注意が
必要でしょう。

肩関節亜脱臼障害(デッドアームサイン)
 一般の人が投球などをしているとき、腕が動かなくなることがあるそうです。
その状態を指して「デッドアームサイン」という名が付いているらしいのですが、
実態は、肩関節の亜脱臼、すなわち外れかかっている状態です。
これを予防するには、肩の関節の前側を鍛えると良いようです。

投球肩
 一般に言う「投球肩」には、さまざまなものが含まれるようです。
その一部は、上腕二頭筋長頭腱の腱鞘炎から関節唇の剥離へ進むものであることが
知られています。
その他に、インピンジメント症候群(impingement syndrome;肩峰下滑液包の
腱鞘炎。腕を上に上げていくと60〜120度で痛い)、腱板炎、などが知られています。
また、腋窩神経という神経はQuadrilateral space(クワドリラテラルスペース)
という狭いところを出てくるのですが、投球動作はそのスペースをさらに狭くする
動作であるため、腋窩神経が痛む、ということもあるそうです。


 さて、ここまでは肩の話でしたが、ここからはの話に移りたいと思います。
投球動作によって、肘の内側には牽引する力がかかり、外側には圧迫する
(ぶつかる)力が働くのだそうです。
そのため、外側では外顆という部分が削れてしまい、いわゆる「野球肘」という
状態になってしまいやすいのです。
このとき、削れてできたかけら(遊離体)は、関節の液で栄養されて
大きくなっていきます。
治療としては、この遊離体を除去するなどするのですが、一旦なってしまうと、
野球をやめても、自然に良くなることは比較的少ないようで、
予防が大事なのだそうです。

研究では、超音波検査やMRIで、かけらができる前の状態、すなわち
軟骨の下の骨がつぶれている状態で見つかれば、その時点で野球を
一時休むことで治癒することが分かってきているそうです。
しかし、もし、その状態のまま野球を続ければ、離断性骨軟骨炎
(いわゆる「野球肘」)になってしまうようです。

肘の内側にも、障害は起こります。
上腕骨内上顆炎、上腕骨骨端線離開、内側側副靱帯の損傷、尺骨神経障害などです。

予防法としては、超音波検査などで早期に変化を発見し、ポジションを
変えるなどの予防策を講じることなどが考えられます。

また、(特に骨が成長段階にある、少年で)そういった障害を起こさないために、
次に挙げるようなことが推奨されているようです。
・投球は直球のみ
・投手は、全力投球は1日に30〜80球まで。
・週に一日以上の休養日をもつこと。
・準備体操、運動後のクールダウンを十分に行うこと。

また、サイドスローやアンダースローは、通常の投げ方よりも、肩、肘に
かかる負担が大きいようです。
ご注意ください。

<参考文献> 標準整形外科 第7版 医学書院
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